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清水綾乃

「出来ない理由を探すより

できる理由を探す」

· Players

初めて清水綾乃選手にお会いしたのは、5月のITF久留米6万ドルの会場。

ご挨拶して試合中の写真撮影をお願いすると、「あはは!」と笑いながら、次の対戦相手の大柄な外国人選手について「私一緒に写りたくないです〜!足細くて私の胸くらいまで長いんですよぉ〜!」と最初から人懐っこい笑顔を向けてくれました。この女の子がプロ転向1年目早々から300位台前半(そして執筆時点の6月には240位台)に急成長中の選手なのか、ひょっとして人違いじゃないかと疑いたくなったほど。もちろん、その「?」マークはその後の試合で驚きとともに消え去ったわけです。

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Tennis Tribe.JP(以下、TT):「こんにちは、久留米お疲れ様でした。それと軽井沢優勝おめでとうございます。今日は宜しくお願いします。」

清水綾乃選手(以下、清水):「ありがとうございます!よろしくお願いします。」

TT:「まずテニスとの出会いのお話から始めましょうか。」

清水:「はい。両親がテニスをやっていて、2人のお兄ちゃんが始めた時に、私もラケットで遊び始めたみたいなんです。その時3歳で、『いくつになったられっすんうけれるの?』ってコーチに言ったらしいんです。コーチから5歳になったら受けられると言われたのを覚えていたみたいで、5歳の誕生日に自分から『今日から入れますか?』って聞きに行ったそうです。全っ然覚えていないんですけど(笑)」

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TT:「ジュニア時代の話をお聞きします。全日本ジュニア戦績を見ると、高校2年生から上位に食い込む成績を残し始めたわけですね・・」

・・と、調べた戦績表に同じ98年生まれの小堀桃子選手、村松千裕選手の戦績も書いてあるノートを見られ・・

清水:「やっぱりすごいな〜。優勝とか準優勝ばっかり!」

TT:「清水選手も2013年の全中と2014年のMUFGジュニアのチャンピオンじゃないですか。」

清水:「でも、これ全部オムニなんですよね。オムニでしか勝てないって思われるんです。」

(筆者注:『オムニ』は砂入り人工芝コートのこと。球足が遅く、バウンドもハードや赤土のように跳ねない。海外ではほとんど見られない日本独特のサーフェース。)

TT:「それでも、そのライバルに勝っての優勝ですから、胸を張るべきですよ。」

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清水:「MUFGで勝った時は自分の理想のプレーができてていい感じだったんです。その勢いでと思ったら、インターハイの前に足を怪我しちゃって、その後の全日本ジュニアを無理して出たんですけど1回戦負けでした。そこから1年間全く勝てなくなっちゃいましたので、もっと引き離される感じでした。」

TT:「翌年の全日本ジュニアU18はベスト4。ここでトンネルを抜けたわけですね。」

清水:「いや、その大会は千裕ちゃん(村松選手)とこぼりん(小堀選手)が途中で負けてたので、チャンスがあったんです。それでもベスト4だったので抜けた感じではなかったです。」

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TT:「プロになる意識と、具体的に動き出したのは、いつ頃でしたか?」

清水:「小学生の時から漠然と『高校でたらプロになる』って考えてました。それで、高校は通信に行って準備を始めました。」

TT:「実際今年の3月に高校を卒業してプロに転向したので、予定通りでしたね。」

清水:「そうでもないんです。大学とプロのどっちにも行けるように、準備していたんです。」

TT:「スポーツ推薦で?」

清水:「いえ、大学に行ったらテニスはやめるつもりだったので、一般入試の勉強をやりました。夜の時間を使って、高2までに受験勉強を終わらせました。」

TT:「寝る時間を削って?」

清水:「はい。テニスは削らないで、寝る時間は毎日4−5時間でやってました。これは親しか知らなかったんです。コーチにも内緒でした(笑)」

TT:「高2で受験勉強を終わらせて、高3はもう一度テニスにフォーカスしたわけだ。」

清水:「はい、大学の選択肢を作ったので、高3は本当にプロでできるかを試す1年にしました。」

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TT:「プロへの転向に自信をつけたきっかけは何かありますか?」

清水:「2015年の9月から11月にスペイン遠征したんですね。そこでハードコートとレッドクレー1万ドル大会に何試合か出て、全部で3ポイントとってランクが初めてついたんです。」

TT:「一つ一つ学んで行ったんですね。」

清水:「はい、サーフェースが違う中でも対応できると感じましたし、ランクもついたので弾みになりました。」

TT:「2016年は韓国でのダブルスの優勝と、香港のシングルスの優勝など、高成績が続きます。」

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清水:「韓国のダブルスの後にすぐ移動して、香港のシングルス予選に出てからの優勝だったので、ハードスケジュールでも勝てたことは本当に自信になりましたね。」

 

TT:「そうかと思ったら、全日本ジュニアでは16止まり・・」

 

清水:「オムニでしか勝てないって話ししましたけど香港はハードコートで、高校最後の大会ということもあって全日本ジュニアは優勝したいと思ってました。周りからも期待を感じていて、今までで一番プレッシャーを感じた大会でした。(荒川)晴菜ちゃんに負けた試合は、コーチから自分から打ち過ぎないようにというアドバイスをもらっていたんですけど、コートで頭が真っ白になっちゃいました。自分がどういうプレーをしたかも覚えてないんですけど、アドバイスと全く逆にウィナーかミスという試合だったらしいんです。」(スコアは4-6 5-7)

TT:「昨年の全日本ジュニアの後の全日本選手権、準々決勝で加藤未唯選手でしたね。どうでした?」

清水:「テレビで見た人って感じでした(笑)自分のテニスを目一杯出せて、楽しかったです。」

TT:「自分のプレーが通じていると思えたところ、差があるなと感じたところなどありましたか?」

清水:「サーブはどこでも通用しないので、やっぱりだめでした(笑)」

TT:「オイオイ・・」

清水:「でも、攻めが自分のパターンに入った時には通じるんだってことはわかりました。」

TT:「収穫はあったようですね。」

清水:「はい。でも、相手にはまだ1つか2つ上のギアは残っているっていうのも感じました。」

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TT:「ところで、戦績を確認している時に気がついたんですけど、ほとんどワイルドカードを使ってないです。多くの選手はそれをステップにしてポイントを上げていくことが多いんですが。」

清水:「ワイカって大会から言われてもらえるものて思っていて、申請するって知らなかったんです!(笑)」

TT:「マジですか・・」

清水:「でも前にスペイン遠征に連れて行ってくれた古賀(公仁男)コーチに、『綾乃は今のうちに予選から試合をたくさんやって行ったほうがいい』って言われて、それ以上考えたことはなかったんですよね。」

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TT:「最初に少し話がありましたが、98年生まれの村松選手、小堀選手との『98年組』は、切磋琢磨するいい関係ですね。」

清水:「そう言って頂けるのは嬉しいんですけど、ジュニア時代は2人が常に上にいて私はその下にいました。2人が凄いのは、勝って当たり前と思われている中で勝ち切ることなんです。今のランキングは私が少し上ですけれど、やっと追いついてきたかなという感じです。」

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TT:「プレーについてお伺いしますね。フォアもバックもスピンを効かせた攻撃的なスタイルで、特にバックハンドが特徴的で、打ち終わった後に右手が離れてまるで左のフォアハンドみたいです。」

清水:「バックハンドは8:2くらいの左手主導で、前はもっと早くから右手は外れていたんです。」

TT:「道理でバックハンドの高い打点からのクロスコートに角度がつけられるんですね。」

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TT:「憧れの選手はいますか?」

 

清水:「錦織選手です。体格差があるのに世界のトップ10を守り抜いている攻撃的なプレーはとても参考になります。」

 

TT:「テニスには身長別とか体重別階級はないですからね。ちなみにフェデラーは好きですか?」

 

清水:「はい。でも『あれは現実にいるの??』って感じですよね。どうしたらああいうプレーができるんだろう?(笑)」

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TT:「今後についてお伺いします。まず、選手としてこういう存在になりたい、というのはありますか?」

清水:「今の錦織選手のように、皆んなから目指される選手になりたいです。立ち居振る舞いも含めて。」

TT:「ランキングやタイトルという点ではどうでしょう?多くの選手がグランドスラムの他に、全日本選手権を挙げますが。」

清水:「正直いうと、トップ選手になると全日本ってパスされるじゃないですか。タイトルを取ってから言えって感じですけど、全日本をパスできるくらいのレベルでありたいですね。」

TT:「世界のレベルではどうですか?」

清水:「世界1です!」

TT:「スパッときましたね。そうは言っても先はまだ長い。まず今年の終わりまでのターゲットはどうですか?」

清水:「グランドスラムの予選に入りたいです。そして早くITFからWTAを試合のベースにできるようなレベルになりたいと思います。そのためには、ランキングを100位台にしなくてはならないですが(汗)頑張ります。」

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TT:「あ、一つ忘れてました。」

清水:「はい、なんでしょう」

TT:「Twitterで女の子らしい投稿が多いですね(笑)」

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清水:「錦織・・

(ふつうのファンになって呼び捨てになります)

・・も好きだし、西岡くんも大好きです❤️」

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TT:「全豪ジュニアでの2ショットは職権乱用ですよ(笑)」

清水:「それに、嵐も好きですよ❤️❤️」

TT:「そりゃ聞いてません(笑)」

最後に、サインと一言をいただきました。

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「ちょっと長いですけどいいですか?」と言って書いてくれたのは、今も大切にしている小学校の先生にいただいた言葉。いつも笑顔で、ポジティブな姿勢は、ここから生まれている気がします。

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聞き手:Tennis Tribe.JP 新免泰幸

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