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山口芽生

「努力が全て」

· Players

テニスをプレー中の表情は、打つ時の踏ん張りで「あぅ!」とちょっとしかめっ面になるもの。少なくともこの選手を見るまでは、そういうものだと疑いがありませんでした。

今回取り上げる山口芽生(めい)選手。
笑ってます。打つその瞬間も本当に笑ってる。

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試合でも笑ってる。

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調べてみると、

WTA700位台の18歳。
ジュニア戦績は全日本ジュニアベスト16以外に目立ったもの無し。
2016年のITFはジュニアもシニアも出ていない!

頭の中の?マークを解くために、埼玉県上尾市のFテニスに走りました。
クレーコートの中に見つけました。笑いながらプレーしている女の子。でも繰り出されるショットの鋭さは、男子ジュニアに勝るとも劣らない。
早速コートに潜入!迷いなくその人、山口芽生選手と確信して。

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Tennis Tribe.JP(以下、TT):「今日はよろしくお願いします。」
 

山口芽生選手(以下、山口):「(コート上と同じ笑顔で)よろしくお願いします!(笑)」

TT:「今もそうですけど、テニスしている時も笑いながらやってますよね!ちょっと感心して見ていましたよ。」

山口:「なんか、いっつもニヤニヤしてますよね(笑)」

TT:「試合の時もそうでした。先日の安藤証券(ITF10万ドル)でも。」

山口:「やっぱりですか?でもテニスが楽しくて、ついニヤニヤしちゃうんです(笑)」

・・とこのまま(笑)を入れ続けるのもなんだと思うので、(爆笑)->(笑)、(笑)->なしで行きます(笑)

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(仙台で幼少期を過ごし、実写版エースをねらえ!でテニスに興味をもつ)

TT:「テニスは5歳で始めたとのことですね。」

山口:「はいそうです。上戸彩が出てた実写版の『エースをねらえ!』をテレビで観てやってみたいと思ったんです。仙台から埼玉に引っ越してきて、Fテニスのキンダークラスっていう一番下のクラスからスタートしました。その頃から今も橋本コーチに教わってます。もうお父さんみたいな存在です。」

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(この頃からずっと、橋本コーチはお父さんのような存在)

TT:「その頃から楽しくやってましたか?」

山口:「はい!!風邪で熱が39度あっても、泣いて『行かせてっ!』って言ってたくらいでした。汗かいて熱が下がって元気になっちゃいました!」

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(5歳、Fテニスで練習を始めた頃))

TT:「小さい頃はどんなテニスをしていました?」

山口:「基本は今も変わらないですけど、とにかく打って飛ばすことです。小さい頃からコーチに『ボールをぶっ飛ばせ!!』って言われてて、試合でも『コーチ、今日はフェンスまで飛んだよ!』って言ってました。そんななので、小学校の低学年はコートに収まらなくていっつも負けてました。それでもコーチは、入れにいく必要はない、今はとにかく飛ばせばいい。いつか収まるようになるって言ってたのを覚えてます。」

TT:「でもそれで負けばかりでは、さすがに勝ちたいと思い始める時もあったでしょう?」


山口:「はい。F(テニス)のみんなが関東で白子に行っているのに自分はFで練習していたり、全国に行っているのに私は埼玉にいる時にはやっぱり勝ちたいなって思いました。でも試合中に勝ちたいと思い始めると、入れにいってる自分に気づくことがありました。コーチは攻めるテニスを貫け、必ず実るからって教えてくれたのを信じて、打ち続けました。」


TT:「全国と言えば、RSK(13歳以下の全国選抜)と全日本ジュニアU14ではともに補欠」


山口:「そうなんです!特にRSKの時は悔しくて、補欠2番のレターは今でも悔しさを思い出すためにとってあります(笑)」

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(この悔しさ忘れないためにとってある、補欠レター)

TT:「話は少し変わって、同年代でライバルみたいな存在はいますか?」

山口:「ライバルとは言えないと思いますけど、本玉真唯さんは目標にしてました。ジュニアで今まで4回当たって、まだ一度も勝てていないんです。初めて当たったのは関中(関東中学生)の準々決勝で、本当に手も足も出なくて、気がついたらボールが過ぎてるんです。同い年なのにすごいカッコいいって思ってました。」

TT:「その後は?」

山口:「2回目、3回目と差は少し縮んできたと思うんですけど、やっぱりボゴボゴでした。早く同じレベルでやれるようになりたいなって真剣に思ってました。」

TT:「4回目が2015年全日本ジュニアU16の3回戦。4-6 4-6でスコアは競り負けという感じです。」

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(全日本ジュニアU16、3回戦)

山口:「この試合はコーチとも本当に勝ちに行こうと考えてやりましたし、初めて対等に戦えた試合だったと思います。作戦通りライジングだけじゃなくてムーンボールとか色々緩急を混ぜていったら本玉さんを狂わせ始められました。初めてリードしたんですけど、そこでなぜか『これは自分のテニスじゃない』って思ってスコスコいつも通りに打ち始めちゃったんです。そうしたら、やっぱりいつも通り負けちゃいました。」

TT:「作戦通り進んでいたのに、自分が崩れたわけですね。」

山口:「これは人に言ったことないんですけど、目茶苦茶悔しかったです。初めての全日本ジュニアでここまで行けるという自信もつきましたけど、ここまでやってもまだ勝てないのかっていう気持ちにもなりました。」

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(先生にも、友達にも恵まれた中学時代 @京都の修学旅行)

TT:「話は前後しますが、どんな中学生時代を過ごしていました?」
 

山口:「中学は登校前にFでサーブとかちょっと練習してから行ってました。登校時間ギリギリになって着席したらチャイムってことは何度もあったし、もうちょっとやりたいって思った時は母親に連絡して学校に『今日はもう少しテニスがしたいそうなので』とか、『体調が悪いので』とか電話してくれてました。」

TT:「おいおい、それは世間的にはズル休みですぞ!(笑)」

山口:「でも先生もそれを許してくれてましたので、恵まれてましたね。」

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(Fテニスは最高の遊び場。騎馬戦やろうと言い出したのは芽生)

TT:「ところで、今18歳。高校3年生の年になりますけど・・」

山口:「高校に行ってません!」

TT:「その話を聞かせてください」

山口:「中学の頃から、プロになるか、ならないかを考えるんじゃなくて、プロになってグランドスラムに行くにはどうしたらいいのかってことを考えてました。それでも高校進学を考えたことはありましたよ。上尾にある秀明英光か、通信制にするか。色々考えて、プロになることを決めているんだったら、高校は行かなくてもいいって思うようになりました。コーチからも『保険かけてもしょうがないんじゃないか』って言われて、進学しませんでした。」

TT:「ちなみに、ご両親から高校進学の話はありませんでしたか?」

山口:「自分の考えを尊重してくれてますし、テニスはFにお任せしているので、一切口を出してくることがなかったです。」

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(「F」の仲間、左は長束実紀選手、右は秋山みなみ選手)

TT:「高1の年(2015年)からは、どういう日常を過ごしていますか?」

山口:「自分の練習以外では、Fの提携校で大宮グリーンテニスクラブでアシスタントコーチをしてます。教えることで学ぶことにもなるし、基本的なところができない生徒を見て自分自身も見直すこともあったりで、レッスンすることはとても役にたってます。」

TT:「上尾のFテニスでも、今日のようにジュニアと一緒に練習するんですね。」

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(ヤスくん[江原弘泰選手]は、周りを明るくする面倒見のいいお兄さん)

山口:「Fって代々下の子の面倒をみるんです。私はヤスくんによく面倒をみてもらってました。」

TT:「ヤスクン??」

山口:「江原ヤスくん(江原弘泰選手)です!私にはお兄ちゃんみたいな人で、ヤスくんが来てくれるといつも練習が明るくなりました。今は私が下の子を同じように面倒をみています。」

TT:「そうやって、明るく笑顔のテニスが続いて行くんですね!」

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(2015年全日本、1R負けした後。芽生にも悔し涙はある)

TT:「さて、2017年4月にプロに転向を届け出ました。」
 

山口:「はい、JOP大会(日本テニス協会公認国内大会)の賞金ももらえるレベルになってきましたし、ITFへのチャレンジを始めるのでプロ登録をすることにしました。」

TT:「何か気持ち的に変化などありました?」

山口:「親には、プロは社会人になったということなので、人として自覚を持つようにしなさいと言われています。もう18歳ですし、発言と行動には気をつけるようにしてます。テニスを楽しんでいるだけではダメだし、コーチに頼ってばかりではもうダメなので、自分で考えるようにとは思ってます。まだまだなんですけど。」

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TT:「今年はITFで大活躍です。これはジュニアからの教えがいよいよ実を結んできたと考えて良さそうですね。」

山口:「そうだと思います。コートに収まらなくても打ち続けていたのが、入れに行くのではなくてコントロールできるようになって、試合で勝てるようになってきた感じです。」

TT:「今年の試合を少し振り返ります。5月の久留米60Kドル(U.S.E)では予選決勝、9月の京都15Kドル(GSユアサ)で準々決勝、そして11月の東京100K(安藤証券)では2回戦。この中でまずお聞きしたいのが、GSユアサの準々決勝Dunne戦、5-7 4-6。」
 

山口:「この試合はDunne選手はとにかく大事なところを必ず押さえてきました。自分が試合のなかで大事なところを本当にわかってないなって感じた試合でした。」
 

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(ジャン・スジョン戦はやるべきことをやって5-7 4-6)

TT:「次に最近の安藤証券で韓国のスジョン戦、これも5-7 4-6。」
 

山口:「はるかに上の選手ですし、試合前は公開処刑だって思ってました(笑)」
 

TT:「それは面白い!」
 

山口:「最初、私のボールに合ってなかったみたいで、4-1リードしました。自分は自分で、打ってはいたけどまだシバき倒してはいない感じでしたので、合ってくるとペースを持って行かれちゃいました。大事なところでやっぱりポロっと取りこぼしたりしましたね。試合を通じてギリギリの状況になっても楽しくて、マッチポイントを取られても思い切って打つことはできました。負けましたけど、自分のやるべきことはやれたのかなと思える試合でした。」

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(2017年全日本は2R進出)

TT:「最後になりますが、ご自身のプレースタイルと、見て欲しいプレーを教えてください」
 

山口:「テンポを上げてパンパン攻めて、チャンスは前でスイングボレー、最後はネットにいるというプレーが理想です。そんなプレーを見て欲しいです。でもまだミスが早いし、自分のテンポが狂った時に打ち急いでアワアワしちゃうのは直さないとならないです。あ、それとサービスもセカンドはいまいち・・・」
 

TT:「まだまだこれから。ひとつひとつ克服していきましょう!」

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(テンポのいいストロークは一見の価値あり)

TT:「当面の目標はどうでしょう?」

山口:「正直、今年プロ転向をした時にはこんなにポイントを取れるとは思っていなかったです。でもこれからランクアップして、早くグランドスラムの予選に行ける200位くらいに上がりたいです。」

TT:「今年は海外ITFには出ませんでしたね。来年はどうですか?」

山口:「まずは日本の大会でしっかりポイントをしっかり取りたいと思ってますし、海外にも少しずつチャレンジしていきたいと思ってます。」

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コーチの言葉を信じ切って、努力を重ねてきた全てが結実してきたのでしょう。

最後に、本人からは掲載に難色を示されましたが、芽生スマイルで締めます。

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写真提供:

山下潤さん(Jun YAMASHITA)

山口芽生選手

ありがとうございます!

聞き手:Tennis Tribe.JP 新免泰幸

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(2018年3月に所属先情報を更新しました)