今回お話をお聞きするのは、今西美晴選手です。
2016の年全日本選手権シングルス準優勝・ダブルス優勝、ITFシングルス優勝は通算4回、ダブルスでは8月の筑波でダブルス初優勝を飾ったばかり。
インタビューには今西選手の競技活動を支える妹さんの同席で場が和み、京都女子の二人の漫談を交えたインタビューは大幅に時間をオーバー。泣く泣く話をカットして1回分でお届けします。記事はご本人の京都弁をできるだけ再現しようと試みています。京都のイントネーションを重ねて読んでいただくと、今西選手の生の声が聞こえてきますよ(笑)
(サポート役の妹さんと)
TennisTribe.JP(以下、TT):「初めまして、よろしくお願いします。」
今西美晴選手(以下、今西)と妹さん:「こちらこそよろしくお願いします。」
TT:「妹さんはいつも美晴さんの試合に帯同されるんですか?」
今西:「妹は大学の休みの時に帯同してもらって、テニスの基礎練習のサポートや英語が堪能なので通訳と、ゴリゴリマッサージを務めてくれます。(妹さんに)な〜めっちゃひぃひぃ言いながらやってもらってるやんな。」
TT:「あまり似てないですよね?」
今西:「家族4人並ぶとちょっと似てるんですけど、2人だけだと姉妹に見られることはないです
TT:「身長も妹さんの方が大きいですしね。」
今西:「そうなんです。私が一番幼く見られるんです。外国だと15歳って言われちゃったり❤️」
TT:「へーっ (^^;)」
こんな話でよければずっと続けていられそうですけど、これではテニスインタビューじゃなくなるのでそろそろ本題に行きます。
TT:「テニスとの出会いは『オートテニス』とのことですが。」
今西:「6歳のときに家族で隣町の田辺の厚生年金のプールに遊びに行ったんですが、雨で入れなくて屋根付きのオートテニスで遊んだのが始まりです。」
TT:「もし雨が降らなかったら、テニスと出会わなかったということですか。」
今西:「両親はテニスをしないので、なかったと思います。それから自宅近所のテニススクールに通い始めました。」
TT:「小一でスポンジボールの大会で優勝とのことですね。」
今西:「はい、でもどんな大会だったかもよく覚えてないんですけど、嬉しかったのは忘れてないです。」
TT:「その後、全小に5年生で初出場、6年生でベスト8、全中は3位と高い成績を残しています。やはりテニス漬けの生活でした?」
今西:「いや、それが他のこともたくさんやってました。トランペットはコンクールに出たことあります。プールと、あと書道と、(妹さんに)他なんやったっけ?」
妹さん:「ピアノもちゃう?」
今西:「そうや。」
(習い事の中のひとつ、トランペット。妹さんと)
TT:「それだけたくさん習い事している中で、いつテニスしてたんですか?」
今西:「放課後にスクールで1時間半やってました。中学では他の習い事はやめて、陸上部に入って駅伝と短距離やってました。」
TT:「1時間半のテニスで、小学も中学も全国大会レベル。全国のテニス少年少女が頭を抱えてしまいますよ!思い出に残っていることは?」
今西:「ん〜なんやろ。あ、全小の帰りにディズニーランドに行ったことかな・・」
TT:「・・」
(妹さんと)
今西:「それと、全中で妹とのダブルスが雨で日程がずれて、私の国体京都予選の日程と重なったってしまったんです。(妹さんに)な、覚えてるやんな?」
妹さん:「そうやったな。お揃いのウェア着てな。」
今西:「あの時は京都の為に泣く泣く国体予選を選んだので、妹との全国大会の夢は叶いませんでした。妹には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。」
(妹さんとのダブルス)
TT:「さてその後、京都外大西高校に進学。ここでテニスで学校に行こうとかは考えなかったんですね。」
今西:「通信教育を選択する選手もいましたが、勉強も大切だと思ったのでテニスと勉強が両立できる学校を選びました。『エクシード』に入って毎朝テストやってました。」
TT:「エクシードって何ですか?」
今西:「『特進クラス』です!(自慢げ)」
TT:「それは自慢していいです(笑)テニスはどうなりました?」
(テニス部のチームメイトと)
今西:「スクールはやめて、テニス部に入りました。スクールでは1時間半の練習だったので、部活の練習3時間がめっちゃしんどくて、スマッシュ1カゴ打って腹筋が肉離れしました(笑)」
TT:「じゃ、『高体連』の人だったんですね。ITFジュニアには行っていなかったんですね。」
今西:「はい。グランドスラムジュニアはITFジュニアのポイントでエントリーされますが、高校選抜大会の優勝者にはUSオープンジュニアのワイルドカードが与えられるんです。高校2年の時は決勝で負けて『次は絶対勝つ!』って思って、3年で念願叶いました。」
TT:「ところで、プロ選手を意識し始めた頃を覚えていますか?」
今西:「ん〜いつ頃だったんやろ・・スポンジボールで優勝した時に、『もっと強くなりたい』って思ったのが、今思えばプロの意味もわからず考えた時だったんかもしれません。」
TT:「高校卒業後にプロ転向せず、2011年に島津製作所に入社。すぐにプロになろうとは考えませんでしたか?」
今西:「プロは、高校で日本一になって、次は大人の大会で日本一になってからなろうって決めてました。なので、それまでは会社に勤めてアマチュアとしてテニスをすることに決めました。」
TT:「ところで、配属先は設計技術課。エクシードですから研究に携わったとか?」
今西:「いいえ、他の社員さんが研究とか実験する脇で事務担当やってました。でも秘書検定はとったんですよ!(再び自慢げ)」
TT:「さすが『エクシード』(^^)その後、入社1年目でITF三重で優勝しましたが、プロへは行きませんでしたね。」
今西:「はい、やはり日本一になることを目標にしてましたから、入社2年目に全日本室内選手権の優勝で目標達成できて、プロでやっていこうと決めました。」
(全日本室内選手権優勝で、プロを決意する)
TT:「プロ転向後2年間で200位台に一気に駆け上がりました(最高201位)。2年目はポイントを意識して大会を選んだりしていました?」
今西:「ポイントを先に計算したり、数えたりしてないんです。(妹さんに)やっぱり計算とかしなあかんのかなー?!」
TT:「プロ3年目、2015年4月から戦線離脱をしてしまいました。」
今西:「右足の第5中足骨をトレーニング中にひねって折っちゃったんです。」
TT:「かなりヘコんだでしょう。」
今西:「それが、その前に韓国の大会で1回戦と2回戦で連敗した後やったんですけど、初めてテニスが面白くないって思い始めた時で、ちょうどいい休みになりました。家族でリフレッシュしたり、親友と旅行したりして。」
(左添田選手からの寄せ書き)
TT:「ケガ明けの2016年と、現在までの2017年をどう評価していますか?」
今西:「2016年は試合勘が無い状態でしたし、リハビリやトレーニングとかやることやって負けたんやから仕方ないって思ってました。今年はトレーニングとケアの成果が出てきて、ケガもなくて充実しているので結果に繋がっていると思います。」
TT:「グランドスラムについて聞かせてください。これまで、全豪と全米の予選に出場しています。」
今西:「ウィンブルドンは予選のアルタネート(補欠)に入っていて白いウェア着てアップも完了して準備万端にしてたんですけど2番落ちでしたので、必ず帰ってきたいです。パリは、パリのディズニーランドに行きました!」
TT:「またディズニーかい(笑)」
今西:「(キリッと真面目に)最初は予選出場が目標でしたけど、自分にも十分チャンスはあると思うので、今は本戦でプレーするという意識を持っています。」
(2016年全日本選手権シングルス)
TT:「これはどうしてもお聞きしたいのが、全日本選手権です。シングルス2度の決勝進出でどちらも準優勝。」
今西:「去年こそはと思っていたのですが、、けど幼なじみで大好きな大前選手と決勝と戦えて、嬉しかったです。悔しいですが、それよりも2人の今まで励まし合ってここまで頑張ってきたので、辛かった事とか思い出したら涙が止まりませんでした。。ダブルスはあっこちゃんに絶対二冠を取らせてあげたい!って一心でした。」
(2016年、大好きな「あっこちゃん」とのダブルスで日本の頂点)
TT:「今西選手にとって、全日本選手権というのは?」
今西:「タイトルが欲しいというより、日本で一番の大会でたくさんの人に恩返ししたいって思いで優勝したい大会です。ダブルスとミックスは優勝してるので、あとはシングルスのみですから、今年こそは、、です!」
TT:「プレーについてお伺いしますね。ファンにどういうプレーを見て欲しいですか?」
今西:「フットワークを見て欲しいです。最後まで、2バウンドまで追いかけますから!私、読みはいいと思うんです。」
TT:「何かコツはありますか?」
今西:「野生の勘です!小さい時に素足で走って、川で魚を手でつかんでましたから!(妹さんに)なぁ、手づかみしてたやんな?」
妹さん:「そうやな(笑)」
TT:「目指す選手や、参考にしている選手はいますか?」
今西:「リー・ナは参考になると思います。同じアジア人ですし、フットワークやゲームの組み立てなど見習うところはたくさんあります。」
TT:「組み立てる試合は、見ていて楽しいですね。」
今西:「でも私は『いつまで打ってんねん』ってくらいラリーが長いんですよ(笑)」
TT:「得意なサーフェースはどれでしょう?」
今西:「芝生です。腰の高さで打てるのと、フットワークが重要になってくるので、私には有利だと思います。あと、緑と自然が大好きなので(笑)」
TT:「最後に、プロテニス選手という人生で、大事にしていることは何でしょうか?」
今西:「テニスは一人の人間として私を成長させてくれます。まずは人として素晴らしい人でありたいし、誰からも応援される選手になりたいです。勝っても負けても相手をリスペクトできるフェデラーは私のお手本です。テニスはあくまでも人生の中の一つの選択肢で、全てではないですから。」
TT:「では、人生の他の選択肢って何ですか?」
今西:「そう言われると・・そうですね、あ、トランペット吹きたいです!小学生以来や!(妹さんに)あ〜トランペット欲しい!クリスマスにプレゼントして!」
終わりに一言とサインをいただきました。「誰でもない、今西美晴らしいプレーを見て欲しいです」との気持ちを込めて。
サインをいただきポートレートの最中も、姉妹の掛け合い漫才は終わらず。『笑顔を」というとこんな表情に。終始笑いの絶えないインタビューでした。
写真は以下の方々にご提供いただきました。
Tennis Magazine Jun Sugawara様
今西美晴選手
ご協力誠に有難うございました。