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西郷幸奈

「道を切りひらく!」

· Players

姉妹でグランドスラムを目指し、お父様もテニスコーチという正にテニス一家。

幼少期からマンツーマンで厳しく指導を受けて来たのであろうと思っていると、むしろ自立心を育む教育だったようです。

姉妹の、そして家族の夢の実現に向けて、先頭に立って道を切りひらく、そして今年の大河ドラマ「西郷どん」も追い風(?)の、西郷幸奈選手に話を伺いました。

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テニスは家族の構成要素

Tennis Tribe.JP(TT):「西郷選手と言えば、姉妹でテニスプレイヤー。お父さんもコーチをなさってるので、今日は家族で取り組むテニスという視点でもお伺いできればと思います。まずは、テニスを始めた頃から教えてください。」

西郷幸奈選手(西郷):「はい、始めたのは5歳で、父の手ほどきでした。祖母もテニスをやっていて県の代表選手だったそうです。大会が地方であると家族みんなで行っていたので、遠征が家族旅行みたいなものでした。生活の一部としてテニスがありました。」

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(テニスの大会は、家族旅行)

TT:「小さい時の試合で何か覚えていることってありますか?」

西郷:「幼稚園の年中で大会に出始めましたが、初めての試合を覚えています。まず、ものすごく緊張してたこと。それと、相手サーブが自分の顔に当たって泣いた記憶ですね(笑)。そのあと公式戦では小1までの3年くらいはずっと1回戦負けでしたけど、それでもイヤになることもなくやっていました。」

TT:「テニスを本当に楽しんでいたんですね。プロへの源流はここですね。」

西郷:「今、プロになって言うのは変ですけど、今でも試合で負けてしまっても前を向き続けられているのは、この頃と同じように楽しむ気持ちがあるからだと思います。」

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(大会にで始めたのは、幼稚園年中の頃)

海外の経験、そして頭角を表す

TT:「小学生時代から大会で旅をする生活だったのでしょうか?」

西郷:「大会で旅行もしましたが、何より海外の経験をその頃からしていたのは、自分には大きかったと思います。小1でフロリダのホップマンキャンプに参加したのが初めての海外で、3・4年生の時にはオランダとフランスのキャンプ、5年生でもう一度フロリダを経験しました。」

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(小1でフロリダのホップマンキャンプに参加)

TT:「ジュニアの戦績ですが、全国レベルで頭角を表したのは小6で全日本ジュニアU12で優勝になりますね。」

西郷:「その前に、小2の時にスポンジボールの大会で優勝したことがあります。家族や友達が喜んでくれたのを見て、とても嬉しかったのを覚えてます。

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(初優勝は、スポンジボールを使ったショートテニス大会)

小6の時は、全国選抜でベスト4、全小ベスト4と成績が出てきていたので、全日本ジュニアも『行けるんじゃないか?!』って感じでした。当時は周りの子よりも身長がある方で・・あ、成長は止まっちゃって今は全然大きくないですけど(笑)、しつこくミスをしないテニスをやっていれば必ずチャンスボールが来るので、最後は体格を生かしてドカンと打ってフィニッシュっていう試合で、『負ける気がしない』って思ってました。」

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(全日本ジュニアU12優勝)

TT:「全日本ジュニア優勝の年から、ITFジュニアで世界大会に出場を始めます。海外はやはり慣れたものでした?」

西郷:「経験があった分だけ、すごいチャレンジではありませんでした。でも、最初の遠征先はベトナムで、その後もアジア中心に回りましたから、欧米と比べると衛生面で驚くことが多かったのは実際でした。」

TT:「ITFジュニアも回りながら着実に力をつけて行った結果、17歳の年はITFジュニア3大会で優勝でした。この頃も粘り中心のプレーで?」

西郷:「いいえ(笑)さすがに海外で戦うにはアグレッシブなプレーを取り入れないとなりませんから、ちょうどこの年代がアグレッシブなプレーに安定感が出て来た時でした。それまでは修得に苦労して、試合で思ったような結果に繋がらない時期を過ごしていました。3勝した時は、U12の時と同じような『負けない感覚』を持ち始めていたと思います。」

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(ITFジュニアの初遠征は、ベトナム大会)

夢の舞台を体感、そして決意

TT:「ところで、ジュニア最後の2年間、全日本ジュニアから名前がなくなりますが。。」

西郷:「17歳の時は、関東予選の1回戦で負けました。」

TT:「対戦相手はその年の全日本ジュニアを制した千村夏実選手。ドローに恵まれませんでしたね。」

西郷:「その試合は競って、4時間の試合でした。(6-4 6-7[10] 6-7[5])今でもこれが最長試合時間です。18歳の時は、次の年からプロになることを見据えていたので、ITFジュニア出場を優先してスケジュールをして欠場でした。」

TT:「ジュニアの最後、2014年の春には、夢の舞台を経験しましたね。」

西郷:「全豪オープンの会場は本当に華やかで、全てが特別だと感じました。みんながこの世界に戻ってきたいって思うのが良くわかりましたし、私もそうです。グランドスラムは1・2年前には行っておきたかったので、これがラストチャンスでした。海外選手に対して攻めでは力に差があっても、守りとしつこさで上回って、来たチャンスをしっかりものにして行くテニスを身につけるのに時間がかかっていました。それまで勝っていたのはG3やG4グレード大会で、グランドスラムに近いG1やG2で勝ち上がるのは簡単ではありませんでした。」

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(ジュニアとはいえ、全てが特別だったグランドスラム大会)

TT:「予定通りと言いますか、ジュニア卒業後に、プロ転向。迷いなどはありませんでしたか?」

西郷:「中3からジュニアの最後まで、山梨学院大学の練習に参加させてもらったこともあって、進学のお誘いもいただいていたので、もし大学に行くなら山梨とは考えていました。プロの厳しさは分かっているつもりでしたし、自分がやっていけるのかとも考えると、大学進学という道に迷いは少しありました・・」

TT:「本当に迷いました?」

西郷:「・・本当は、そんなに迷ってなかったです(笑)」

TT:「やっぱり(笑)」

西郷:「グランドスラムを目指す気持ちは変わることはなくて、そして目指すならその厳しい世界に早くから飛び込むべきと思いましたので、大学進学はせずにプロを選びました。」

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(プロ転向の年に、ダブルスでプロサーキット初優勝を飾る)

プロになって初めて分かる

TT:「さて、2015年からプロとなって本格的に転戦を開始しました。それまでもジュニアでは気づかなかった事など、ありますか?」

西郷:「たくさんあります。それまでは、仕事は試合に出て勝つことというイメージでしたが、実際は競技活動を続けていくにあたって、企業スポンサーさんを訪ねたり、イベントやったり、自分のことを発信したり、オフコートの活動がいっぱいあることが分かりました。私のためにサポートしてくださる人がいて、初めて私自身はこうやってプレーができているんだということを痛感しています。これは勝っても負けても、強くてもそうじゃなくても同じです。そこが、試合をただやっていたジュニアとの大きな違いだと思います。」

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(レック興発からパッチ契約をいただく。競技活動にスポンサーの支援は欠かせない)

TT:「海外を回る生活は、実際やってみてどうですか?」

西郷:「海外では考えもしないようなこともおきますし、それに対応しないとなりませんが、小学生の頃から海外を経験してきましたし、中学生の時には一人でベトナムの大会に出たり、高校でもITFサーキットを一人で回っていたので、自立心と生き抜く力はついていたんだと思います。今その経験がとても生きています。」

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TT:「では、現在までのプロとしての活動、どのように自己分析しているでしょうか?」

西郷:「テニス自体は毎年経験を積んでよくなっていると思いますが、やはり海外の色々なタイプの選手がいる中で勝ちきれるのかというと、ショットの精度一つとってもまだ足りないところはたくさんあります。その中で、プロ転向以来700位台にいる現状では、正直、目標であるグランドスラムにはまだたどり着けるとは思っていません。ここ数年で欧米とアジアのテニスやメンタリティの差をとても感じたことで、目標に向けて2018年からはヨーロッパでの経験を増やしたり、新しい取り組みをしていこうとしています。」

TT:「小さい時から培って来た海外経験を、本当に生かす時なのかもしれませんね。」

西郷:「はい、そう思います。メンタリティとしても、もっと自分を主張したり、もっと自分をコートで表現できるようになりたいと思います。」

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(遠征先では現地の食文化や美味しいものをめぐるのが好き)

TT:「プロになってから毎年、1月から2月頃に海外キャンプを張っていますね。最初の2年はフロリダ、ここ2年はスペインのマヨルカでしたね。ラファに会いました?」

西郷:「ナダル、いい人ですよ〜(デレッ)」

TT:「それは聞いてない、でも写真は見せて(笑)」

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(この笑顔。コメント不要ですよね・・)

西郷:「練習拠点にしたのは『Tennis Academy Mallorca』で、大きいアカデミーではないのですが個人の能力を引き上げてくれる、強くなれるところだと感じて2年連続で行っています。」

TT:「今年のマヨルカでの大会では収穫があったようですね。」

西郷:「はい、ダブルスは3回決勝進出で、2勝できました。ダブルスでは自分のやりたいプレーを出せるようになって来たのかなと感じています。」

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(2018年マヨルカの大会はダブルスで感触を掴む。ペアの吉冨愛子選手[左]、佐藤南帆選手[右]と)

姉妹で目指すグランドスラム

TT:「話は最初に戻りますが、妹の里奈さんとのテニスについても聞かせて下さい。」

西郷:「二人で組んだダブルスでグランドスラムのコートに立って、コーチ席には父、ファミリー席に母。妹はまだジュニアですが、プロを目指しているので、姉妹の夢を実現したいです!私たち姉妹は性格もプレーも全く逆なので、いい組み合わせなんじゃないかなって思います。里奈は超攻撃的なプレーが出る方で、私は妹に比べると粘り強く組み立てていくプレーですから、お互いに良いところを引き出し合っていきたいです。」

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(性格もプレーも逆という、妹の里奈さんと)

「さいご」に・・

TT:「さいごになりますが、テニスプレイヤーとしてどんな存在になりたいですか?目指す選手などもいれば教えてください。」

西郷:「あ、さいご・・西郷っていいました?(笑)ちょっと宣伝してもいいですか?今年は西郷どん(せごどん)の年ですから、私自身をもっとこの機会に売り込んで行きたいと思って、こんなビデオを作ってみました!

西郷隆盛の家系図は西南の役で市役所が焼かれた時に燃えてしまったらしいのですが・・この本の記載によると、うちの家系はやはり西郷隆盛の血筋のようなんです。西郷家の長男は、父もそうですが名前に『隆』をつけなければならないそうで、今でも脈々と・・」

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TT:「・・話戻していい??(汗)」

西郷:「あ、はい!目指す選手ですよね。プレーヤーとしては、小柄でも世界と対等に渡り歩いたジュスティーヌ・エナンが憧れです。人としては、浅田真央ちゃんみたいに周りの人に何かを与えられる存在になりたいです。小さい頃から色々な経験をしてきたり、西郷隆盛の血を引いているし(笑)、自分で切り拓く力はあると思います。プレーもそうですが、挑戦していく姿も含めて、ジュニアにも、そしてファンの方にもみていただいて、応援してもらえるようになりたいと思います。」

西郷、じゃなかった、最後にサインと一言をいただきました。

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写真提供:株式会社レック興発、西郷幸奈選手

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聞き手:Tennis Tribe.JP 新免泰幸

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