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小堀桃子

「人生を彩る」

· Players

今回お話を聞くのは、2017年にプロへ転向した、小堀桃子選手です。

多くのプロ選手から聞こえてくるテニスに対する熱い思いや、人生を捧げるような言葉が、彼女の口からは聞こえてくることはありません。

しかし、決して物事に冷めた選手というわけじゃない。インタビューに練習拠点を訪ねた際にも満面の笑みで迎えてくださり、明るく、自分の気持ちに率直な、きっと近い人には「天然」と言われそうなふつうの18歳。

ただ、その言葉の意味を捉えようと掴んだつもりが、指の間からサラサラとこぼれ落ちるような感覚をどうしても覚えてしまうのです。

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Tennis Tribe.JP(以下、TT):「今日は宜しくお願いします。」

小堀桃子選手(以下、小堀):「宜しくお願いします。あのぉぉ。今ちょうどコンサートチケットの発売なんですけど、ちょっとだけ待っていただけますか・・すみません・・」

TT:「あ、どうぞどうぞ!」

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TT:「さて、まずはテニスを始めた頃のことを教えていただけますか?」

小堀:「4つ上に兄がいるんですけど、テニススクールに付いて行ったのが始まりです。4歳の時に、兄が練習をしているのを待っている時間はやることもなく、壁打ちをしていました。5歳でキッズクラスに入りました。」

TT:「じゃ、4歳の時はずっと壁打ちしてたんですか?」

小堀:「壁が友だちでした(笑)」

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TT:「ジュニア時代の戦績は、中3で全日本ジュニアU16を取って、高1ではU16の年齢でU18を優勝。インターハイの優勝や全日本のダブルスの2年連続準優勝など素晴らしいの一言ですね。思い出に残っている試合はありますか?」

小堀:「試合のことはあんまり覚えていない方なんですけど、中3の全日本ジュニアで(村松)千裕ちゃんとの決勝だと思います。」

TT:「ストレートで勝った試合ですね。」

小堀:「ファースト3-5で負けてたのをひっくり返して7-5にした試合でした。」

TT:「その通りです。」

小堀:「そこまで相手が完璧だって感じてたんです。リターンから打ち込まれてすごくキツかったのを覚えてます。そこからフォアハンドに回り込んで打ってくるところをストレートで突いて行ったらポイントがとれ始めたんです。それで逆転した後も押し切って勝った試合でした。」

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TT:「左利きの村松選手の回り込んでくるところをストレートで突くという話もそうですし、試合を拝見しましたが、落ち着いていますよね。戦略的に分析して、しっかり組み立てて試合を進めることができているようです。」

小堀:「戦略的に見えるってよく言われるんですけど、自分のことをそうは思わないです。」

TT:「でも、回り込みを狙ってって、しっかり考えてますよ。」

小堀:「あ、それって後からコーチに言われて、そうかっ!て思ったので記憶に残っているだけだと思います(笑)」

TT:「試合中もクールで、しっかりメンタルコントロールができているように見えます。」

小堀:「コーチには『冷静沈着という言葉は似合わない』っていつも言われるんです。きっと、余裕を見せるように振舞っているのかな。」

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TT:「その村松千裕選手と、清水綾乃選手が今年一緒にプロ転向をした1998年生まれの同年代です。94年組は若手のテニス界を引っ張っていますけど、同じように98年同期と次代を担うみたいな意識はあったりしますか?」

小堀:「3人で『94年組みたいに98年組もがんばろう』って冗談で言ったりすることはあるんですけど、実際には98年だからってことは考えたことはないです。」

TT:「この3人はジュニア次代からのライバルであるのは間違いないですよね。」

小堀:「え〜ライバルなんですかね。綾乃なんかは小さい時から友だちなので、そういう風に思ったことないんです。」

TT:「先日清水選手は軽井沢(ITF25K)で優勝しました。そういうのを見てライバル心とか感じるものはないですか?」

小堀:「上手いな、強いなとは思います。けど、『じゃ自分も同じように』っていう意識にはならないんです。」

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TT:「プロの転向は今年の4月ですが、いつ頃からプロになろうって考えていましたか?」

小堀:「小さい頃からテニスはずっとやって来ましたけど、プロになろうって思ったことはほとんどなかったんです。高校からはプロになるか大学の選択を考えるようにはなりましたけど、両親も含めて大学に行く方が気持ちとしては強かったと思います。」

TT:「大学でテニスをして、その後にもプロに転向することもできますしね。」

小堀:「いや、その考えはなかったです。プロを目指すなら大学を経由するつもりはなかったので。」

TT:「意思を固めた理由は?」

小堀:「私のコーチがプロになることを勧めてくれてたんです。私に14年間ずっと教えてくださっているんですけど、話をすると5分で洗脳されちゃうんです(笑)プロの話も聞いているうちに洗脳されちゃったんだと思います(笑)」

(少し間を置いて)

小堀:「でも、本当は、どっちにするかとても苦しかったです。全日本ジュニアが終わった次の日に結論を出すと決めていたので、その頃はもうぐちゃぐちゃでした・・」

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(洗脳されたなんて言いますが、苦しむくらいに本当に考え尽くしたんだと思います。その頃を思い出して、かすかに涙を浮かべて真剣に話をしてくれました)

TT:「ITFプロツアーには、2015年から積極的に出場しています。その中で記憶に残っている試合はどうですか?」

小堀:「去年10月の牧之原(ITF25K)での波形(純理)さんの試合かな。」

TT:「準々決勝で波形選手に7-6 1-6 7-5で勝った試合ですね。」

小堀:「その前の能登(ITF25K)から調子がすごく良かったんです。それが第一セットの途中で腰が痛くなり始めて、薬を飲んだんですけど第二セットは痛みが引かなくて試合になりませんでした。第三セットでやっと痛みが抜けてきてなんとか勝った試合でした。」

TT:「なるほど、それでこの出入りの多いスコアなんですね。」

小堀:「いい調子で来ていたので、その後の全日本選手権もすごく楽しみにしてたんですけど、腰が治らなくて2回戦で負けちゃいました。」

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TT:「今年に入って、3月の西多摩(ITF15K)のダブルスで優勝しました。どうでしたか?」

小堀:「高畑(寿弥)さんと組ませていただいたんですけど、とっても楽しかったです。年も上なのですごく緊張すると思ったのですが包まれているような感じでした。」

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TT:「今年の軽井沢はどうでしたか?シングルスもダブルスもベスト4。」

小堀:「綾乃に一方的にやられちゃった試合ですね。(1-6 1-6で敗退)あれは落ち込みました。」

TT:「気持ち、引っ張っちゃってますか?」

小堀:「いえ、負けた試合もすぐ忘れちゃうんです(笑)」

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TT:「さて、ご自身のテニスについてお聞きしたいと思います。プレースタイルはどう表現されますか?」

小堀:「えー私のテニスってなんだろう??」

TT:「攻撃的とか、ネットを取りに行くとか、守りを固める方とか・・」

小堀:「それって、試合の状況で変わりませんか?攻めれる時は攻めるし、ボレーもするし、押されてたら守りますし。ん〜スタイルってなんだろう?」

TT:「試合を拝見する限りでは、ミスは少ないですよね。」

小堀:「あ、そうですね、ミスは少ない方だと思います。」

TT:「ミスを抑えて、攻めと守りを使い分けて展開していくのは、世界で言えばウォズニアッキのスタイルに近いかもしれません。」

小堀:「私、世界の選手のこともあまり詳しく知らないんです。特別に目標にする選手とかもいないし、真似をする人もいなくて。」

TT:「グランドスラムとか、観ないんですか?」

小堀:「長い間テレビの前でずっと観ていることはないです。お父さんがテレビで観ている時にチラッとはありますけど。あ、全米で加藤さんと穂積さんがベスト4に行った試合は観ました。」

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TT:「小堀選手にとってのテニスってどういうものですか?」

小堀:「テニスは好きでたまらないとか、テニスが自分のすべてっていう感じではないんです。難しいスポーツだからやり続けているんだとも思います。できる時もあれば、できない時もあります。技術も簡単に身につけられるものじゃなくって、決して小さな頃に全部できちゃうようなスポーツではないと思うんです。それが楽しくて、だから続けられている気がします。」

TT:「テニスは挑戦するものは多いし、プロとしても長く続けられるスポーツだと思います。」

小堀:「プロって何歳くらいまでできるんですかね?」

TT:「年齢は年々上がってますから、小堀選手の頃には35歳とかもっと上が普通なのかもしれませんね。」

小堀:「今は35歳で試合をしている自分を想像できないです。」

TT:「テニスが嫌いってことじゃないんですよね?」

小堀:「テニスは好きです。でも、それだけじゃないって思うんです。」

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TT:「ここまでのお話から察すると、プレイヤーとしても目標というのもお聞きできるか不安ですが・・」

小堀:「グランドスラムを目指すとか、何位まで上がるとかそういう話ですよね。今は想像できないんです。」

TT:「やっぱり(汗)」

小堀:「一年回ってみて、自分のレベルがどの程度なのかがもっと分かったら、どの辺りが目標になるかはお話できるかもしれません。今の所は、『行けるところまで行く』とさせてください!」

TT:「じゃ、また一年後に話を聞かせてくださいね。全日本(選手権)はどう考えてますか?」

小堀:「それは、とりたいです!『全日本チャンピオン』って響き、いいですよね!」

TT:「お、反応しましたね!」

小堀:「全日本は誰にでもチャンスがあると思うんです。なので、取れるように頑張りたいです。」

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TT:「あ、一つお聞きするの忘れてました。」

 

小堀:「はい」

 

TT:「血液型ってまだわからないままですか?」

小堀:「そうだ、柏でお話しましたね(笑)はい、まだ分からないままです!」(ドヤ顔)

人生の中で自分の血液型を知ろうとしない日本人に会うのは、後にも先にも小堀選手だけなんじゃないだろうか・・

たっぷりとお話を伺い、最後に一言とサインをいただきました。

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「人生・・」が「テニス人生・・」とならないのが、彼女らしいところなのです。

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聞き手:Tennis Tribe.JP 新免泰幸

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