サイトへ戻る

川橋勇太

勝負師

Tribe Story #72

· Players

川橋選手とはこれまでテニストライブのイベント「Connect」でご一緒し、好青年は十分承知していましたが、しっかりとお話を伺うのは初めてでした。さて、どんな話が飛び出すでしょう。

broken image

川橋勇太

1998年1月26日 東京都出身

👉プロフィール

家の前でキャッチボールしてる普通の男の子

テニストライブ (TT):イベントご出演の際はありがとうございました。川橋選手は教えるのが上手ですから、参加の方々もたくさん持ち帰れたと思います。

川橋勇太選手(川橋):こちらこそありがとうございました。今日はちゃんと自分の事話せるか不安ですけど、よろしくお願いします。

TT:それでは、必ずここからスタートします。テニスを始めた頃の事です。調べたところでは、テニス開始年齢は5歳とのことですね。

川橋それは本当にラケットを初めて握った時のことですね。小4までは両親のテニスについて行ってやるくらいでした。

broken image

ごく普通の幼少期を過ごした川橋少年

TT:テニスファンからすると、プロはラケット握って生まれてきたぞってくらいなんですが。じゃ小さい頃は他のスポーツに熱中していたのでしょうか?

川橋いやそんなこともなくて、本当に普通の小学生と同じで家の前でキャッチボールするとか、水泳に行くとかでしたよ。水泳は幼稚園から小4まで週2回のペースでやってたので、一番やってたのは何かって言われたら水泳だったかもしれませんね。でもボクあんまり好きじゃなくて、メドレーでしかもタイムを切らなきゃ卒業できなかったので、やめたくて一生懸命やった覚えがあります(笑)あ、あと5歳くらいの頃に体操をやってたらしいです。

TT:そうやって聞くと、テニスより水泳の方がしっくりくるような体型に見えてきたぞ(笑)テニスは本当にいくつかのスポーツの一つだったんですね。

川橋:両親が日本リーグの選手で、ボクの父と沼尻くん(沼尻啓介プロ)のお父さんが友人だったので、月に1-2回はNJ(茨城県のテニスクラブ)についていってました。

TT:それだけの環境があって、テニス中心の生活でなかったのは、何か新鮮ですね。

broken image

赤い帽子が本人

筆者の勝手な印象として、川橋選手からは他の選手にみられるような「テニスが全て」という雰囲気をあまり感じないのは、この距離感からなのかもしれません。

川橋:そうですね。テニスはルールも本当に良くわからなくて、NJでビギナー向けの大会に出たんですけど、相手のアンダーサーブをボールを渡してくれたんだって思って手でキャッチしちゃうくらいですからね(笑)

きっかけは、沼尻くん。話したことないので恥ずかしいんですけど・・

TT:では何がきっかけでテニスにのめり込んでいったんでしょう?

川橋:最初のきっかけになったのは、小4の時に全小で沼尻くんと西岡くん(良仁プロ)の決勝を見にいって、かっこいいなって思ったところからだと思います。そのあと小5で横浜から町田に引っ越して、中1のゴールデンウィークから町田ローンに行くようになりました。町田ローンのジュニアは男女関係なく順位をつけてプレートに貼り出すんですね。14番の左利きの女の子とやったらポイントとれなくて。ビリ。15番にプレートしっかり貼られて(苦笑)中2くらいでも中間くらいにしか上がりませんでした。

TT:随分レベルが高かったんですね。

川橋:そうですね、女子では本玉さん(本玉真唯プロ)もいましたし。。練習もきつかったし、でもうまくいかないんで、中2の秋と冬は練習サボってしまってたんですよね。

TT:そうしたら、また差が広がっちゃいますよね。

川橋:そうなんです。でもその頃、沼尻くんは全国で優勝したりナショナルに選抜されたりすごかったので、これじゃだめだなって思うようになって、中3から本格的に取り組むようになりました。これ、沼尻くんにも話したことないのでちょっと恥ずかしいんですけど、間違いなく、沼尻くんの影響でテニスをちゃんとやりましたし、今プロになってるって思います。

broken image

沼尻啓介さんがいなければ、プロへの道もなかったという(右が沼尻プロ)

TT:中3から本格的に取り組んで高2までの短期間に、全日本ジュニアに出るまでになりました。この躍進を聞かせてください。

川橋:まず高校は、MUFJの東京予選で06 06のコテンパンに負けた選手や、町田ローンで一緒だった先輩が大成高校に入っていたので、ボクもそこで力をつけようと思いました。入学して最初の関東ジュニアは、痙攣で1ラウンド負けでした。体力とかあまり考えたことなかったんで、そこからは走り込みをして足腰を鍛えることに取り組みました。高2の関東ではシングルスもダブルスもベスト4に残ったので、全日本ジュニアではシングルスで第9シードをもらいました。

TT:水泳もそうですけど、目的に見つけると集中力を発揮するタイプですね。

川橋:そうなのかなぁ。やっぱり周りのレベルに引き上げられるって大きいと思います。高校の団体戦では関東から全国を戦いましたけど、シングルス3とはいえ、島袋くん(現在プロ)とかみんなレベルが上ですから、自分も引き上げられたと思います。

ちょっとだけ自慢してもいいですか??(笑)

TT:どうぞどうぞ!

川橋:高3の関東ジュニアで、綿貫陽介くんとの試合、 05で負けてたのをベースラインで粘っていたら46までまくって、そのあと64、63で勝ったんですよ!!これジュニア時代の自慢なんですよね!ま、その後の全日本ジュニアでは、きっちりストレート(ちなみに57 26)でやられちゃいましたけど(苦笑)

broken image

テニスを抜いたら何が残る?

TT:高校卒業の時を迎えますが、この時点でプロへの転向は考えはいなかったのでしょうか?

川橋:それどころか、プロになれるとさえ思ってなかったですから(笑)

TT:つくばへの進学の経緯を教えてもらえますか?

川橋:最初に勧誘をいただいたのがきっかけでした。高3の時に関東ジュニアのときに声をかけてもらって、練習にも参加させてもらっていたのでそれでお世話になることにしました。

TT:大学テニスの最初の印象はどうでした?

川橋:ボクは推薦で入って体育学部に籍をおいてテニス部に入っていたんですが、他のテニス部の学生はみんな一般入学で入ってきているんですよね。ボクはテニスで、みんなは勉強して入ってきてる。少し時間が経った頃だったかもしれませんけど、先輩に「テニスを抜いたら何が残る?」って言われたことがあって、その言葉はとても重かったです。部の仲間もみんな真剣にテニスに取り組んでうかうかしていられないし、ボクはそれ以上にしっかり結果を残していかないといけない。しっかり考えさせられる言葉でしたし、「先輩カッケ〜〜!」って思ってました(笑)

broken image

筑波大学入学。スポーツ特待生と。

TT:大学入ってすぐ(正確には入学前の3月末)のITF大会のことは記覚えていますか?

川橋:初めてのITFですよね。ホームのつくば大会でしたので、特別感もなく入って行ったことと、ダブルス一回戦で06 06のスコアで負けた以外は、全っ然覚えてないです(笑)

TT:仕方ないとは言わないですけど、相手はその年(2016年)の全日本ダブルス優勝の長尾・奥ペアですからね・・見事な負けっぷりでした!でも翌週の柏大会では、シングルスで本戦1回戦突破ですから、早速ATPランキングを獲得したとは、大したものです。

川橋:柏では日本のプロ選手を間近にみて、ワーワー言ってました(笑)江原選手を見てワーッ!片山選手には、ボコボコッ・・(本戦2R 16 26)片山さんとの試合の日は入学式の日だったので、ボコボコにされるくらいなら入学式に出た方がよかったなって(笑)

broken image

2019年、筑波大学の中心選手として活躍

TT:大学在籍中はコンスタントにITFやJOPの大会に出ていたようですね。

川橋:はい、大学の監督から、負けても得るものはあるから特にJOPには出て色々なタイプを経験した方がいいと言われていました。

ボクはフィジカルがないので持久力をつけて粘りで勝つテニスをしていたのが、そうやってたくさん試合に出ていると、大学3年くらいからはただ粘るだけのテニスから、相手を見て配球で勝てるようになってきました。

TT:素晴らしい!

川橋:でも相手を見る余裕がない時もあって、その時は大体負けてますね。特に球の早い相手の時には余裕がなくなるので。

TT:対策は?

川橋:早い展開でも相手が見れるようにトレーニングすることと、ライジングでこちらから時間を奪って前で、ネットで仕留められるように足を鍛えて進化させてます。そしてポジションをあげてるだけだと、今の僕のフィジカルではディフェンスが弱くなるので、ポジションを下げることも学んでいます。

TT:球の早い相手と言えば、やっぱり片山選手でしょうかね。2019年3月の西多摩(亜細亜大)大会では、予選では勝って(64 75)、本戦での再戦では負けてます(36 16)。

川橋:そうなんですよ。予選は駐車場側の遅いコートでの試合だったんですが、本戦は早いコートで、負けた後の更衣室で、片山さんに更衣室で「あざーっす」って言われちゃいました(汗)

TT:片山選手にあざーっすって言われても、2019年は充実の年に見えますよ。3月のつくばの後、1ヶ月あけて5月の軽井沢でダブルス初優勝。

川橋:早稲田と甲府のフューチャーズは親知らずを抜いて欠席したんです(笑)監督から、なんだその理由???って笑われました。

 

broken image

実は内定をもらっていた

川橋:その頃は就職活動もしていて内定をもらってました。この春は何をやってもうまく行ってて、まず春関(関東学生大会)で優勝して、(ITF)軽井沢でダブルス優勝、JOPでも勝って、(ITF)昭島のシングルスで優勝して。

broken image

大学では光り輝いた。春関東(関東学生)優勝(2019年)

TT:就職先も、試合も全部勝ち取っちゃったわけですね!しかしやっぱりこの時点で就職活動してたので、プロは視野にはなかったのでしょうか?

川橋:いいえ、この頃にはプロも考え始めていて、軽井沢に勝った時には就職ではなくてプロになろうと気持ちを固めていました。外国人の出る大きな舞台はJOPとは違うし、昭島で観客が入る中で試合して優勝した時には、プロでやっていける、やっていこうって確信した時でした。

TT:その後、韓国遠征を経て神戸のチャレンジャー大会に予選から本戦に勝ち上がりました。

川橋:本戦は徳田(廉大)選手に36 16でしたよね。相手のやりたいようにやられてしまって、日本のトップ10レベルにはまだまだ差があるなって感じた大会になりました。チャレンジャーに行くと、徳田選手、高橋(悠介)選手、山崎(純平)選手がいます。もっと頑張らなきゃなって思った試合にもなりました。

TT:充実の2019年、特に思い出に残っている試合はなんでしょう?

broken image

大学在学中からITF大会への挑戦を進める。2019年ITF 15K レクサスオープンシングルス優勝 

川橋:昭島は優勝したこともありますけど、決勝戦は57、05の 0-40で、マッポ(マッチポイント)3本からの逆転勝ちが一番ですね。(57 75 76(0)!)

それと、春関での初優勝ですね。部員みんなの応援で島袋くん相手に勝てたことが本当に嬉しかったです。

TT:2019年12月にプロに転向、2020年からプロ活動の1年目でしたが、コロナウィルスの影響で出鼻を挫かれた感じですね。

川橋:そうですね。でもしっかりと技術とフィジカルを鍛える期間として割り切って活動できてもいました。しかしちょっと追い込みすぎてしまって、7月に膝の腱を損傷しちゃいました。

コーチには無理するなって言われていたんですけど。結局7月から10月は休養に当てることになってしまいました。

でも焦る気持ちもあって、全日本やJOPには無理を押して出場してしまって、怪我はちょっと長引いてしまいました。今度は、カラダを休めることを学びました。

応援をしてもらえるプロに

broken image

2021年久しぶりの海外遠征(チュニジアにて)

TTオンラインサロンなどファン活動に幅を広げているようですね。

川橋:今年は、オンラインサロンでの活動にも積極的に取り組んでいくので、興味ある方はぜひご連絡ください!

broken image

ファンイベントも積極的に行う。興味のある方は最後に掲載のサロンまで!

TT:最後に、当面の目標と、目指すプロ選手像を教えてください。

川橋:近い目標としては、全日本の決勝の舞台で見てもらえるようにしたいです。その先には、もちろんグランドスラムも狙います。 

プロ像ですが、プロとしてやる以上は応援して欲しいです。それはプロだからと競技だけやっていればいいとは思っていなくて、イベントをやってボクがどういう人間かを感じてもらいたいですし、ファンになって応援してもらえるようになりたいですね。大学で応援の大切さを学びましたから、プロになっても応援してもらえるのはやっぱり力になります。

TT:テニストライブのイベントにも2回ほど出演いただきましたが、川橋選手はお若いのに教え方がしっかりしているのには驚きました。

broken image

2021年1月のテニストライブイベント

TT:本当に最後!多趣味のようですけど、テニス以外には何してますか?

川橋:最近ゴルフやってるんですよ。まだまだ下手くそなんですけど、90台で。

TT:えっと、それはもう下手くそじゃないですよ、素人は100を切るのに時間かかるものなんだから!

broken image

ゴルフにボウリング。趣味の人である。

川橋:あと、ドライブ、それとボウリングですね。ボウリングは得意なんです。200を切ることはほとんどなくて、最高スコアは265です。望月(勇希)くんも一緒にやりますけど、みんな200越えです。

TT:えっとこれもね、200なんて出す人あんまりいませんから!(笑)

サインと一言をいただきました。

スパッとこの言葉。

broken image
broken image

=川橋勇太選手の情報=

オンラインサロン

Facebook

Twitter

Instagram

=写真提供=

川橋勇太選手

長浜功明さん

北沢勇さん

澤村京子さん

=聞き手=

TennisTribe.JP 新免泰幸