市岡梓奈選手(梓奈)との出会いはマレーシアで開催されるITFジュニアでチームマーシーの帯同スタッフとして遠征した2024年4月に遡ります。外で見せる素顔はどこにでもいる少し人見知りでちょっぴり頼りなさげな高校生。ところがコートに入ると一変、日本の女子選手としては破格にダイナミックなサービスと、全身をぶつけるように振り抜くフォアハンドの強打、そして自らを鼓舞するCome on!の叫び声。
そんな梓奈は、フルセットになっても逆転勝利する試合を連続で見せ、すでにメンタル面で一定の強さを持っていることを示していましたが、そこにはまだ成長の余地が多くあることは明らかでした。
夏からスタートさせたメンタルコーチングプログラムでは、大津コーチとの定期的なセッションと試合前後の目標設定と振り返りを繰り返し、またコーチも試合に足を運び実際のプレーを確認するなどで成長を見守ってきました。
ボールの代わりに言葉のラリーを繰り返す地味な活動ですが、その成果は2024年UTR女子賞金ランキング第2位の戦績にも表れてきています。
梓奈は最近のセッションで次のように語っています。
「試合中に負けそうな状況になった時に、メンタルの強さがついてきたと感じています。今できることだけを考えて1ポイント1ポイントをプレーできるようになってきています。前は負けそうになったら、負けた後のことを考えながらプレーをしていました。でも今はそんな考えには囚われずに、自分でコントロールできることだけに集中することができる試合が多くなった気がします。」
多くの選手も目の前の1ポイントに集中することは分かっているはずです。それでもやはり試合になると梓奈が語るように負けた時のことに頭を持って行かれてしまうのではないでしょうか。
メンタルはテクニック。このような思考に陥らないよう、セッションを通じた言葉のラリーと、普段から意識することが練習となり成果に結びついていきます。
梓奈の今後のテーマはプロセス目標と結果目標をしっかり分けて分析できる思考を身につけること。たとえ負けた試合からも学んだことはあるかず。誇っていい掴み取った成果もあるはず。胸を張って次の試合に向かっていく、成長した梓奈を2025年に見られるよう、継続的にサポートしていきます。